Architect

ユビキタスとインタラクション

2008年3月

年明けにある事務機器メーカーのショールームを見る機会がありました。ICタグを仕込んだ商品や「実物アイコン」をテーブルに載せると対応した情報が現れたりする技術(デザイン)には感心しました。数字の書かれたアクリルキューブのオブジェがその数字の年の社史を引き出したり、ワインボトルが中身の説明やお勧め料理を提示したりします。
はじめは感心しましたが、しだいに様々な内容の書き込みをシステムに合わせて一つずつコンテンツ化した人たちの苦労が目に浮かんでもきました。
また、パソコンとスクリーンを用いた会議システムや、同様のシステムを学校に応用した「電子教科書」など最新デバイスの説明も聞きました。聞いているうちに、システムも大事ですが、説明してくれた女性社員の訓練されたパフォーマンスや、プログラムを書き込んだ無名の社員たちの仕事がついつい気になってきました。
無理もありません。本当はそのシステムを用いた先の「会議」や「授業」の裏方のはずだったシステムが、主役として、無目的な僕に紹介されているのですから。
様々な電子デバイスがPCを離れて遍在する、ユビキタス社会はもはや現実です。
けれど様々な情報がマイクロチップに書き込めたとしても、その受取人が人間であることに変わりはありません。
手品で 仕掛け(ギミック)より手品師 (パフォーマー)が目立たなくてはならないように、新しいギミックに対しては新しいパフォーマーが要りそうです。会議や授業、あるいは買い物、のような行為やコミニュケーションの再デザインが必要になってきているのかもしれません。

それらはおそらく物や空間の形にとどまることは出来ないでしょう。というのも究極の
インタラクションデザインは人の言語化された身体の内にあると思うからなのです。